本ページでは、アバランチ(AVAX)の基本情報をはじめ、Avalancheチェーンの特徴と多くの分散型アプリケーション(dApps)が利用できるAvalancheのエコシステムをご紹介いたします。
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基本情報
アバランチ(AVAX)とは?
パブリックブロックチェーンプロジェクトとして、スマートコントラクトを使用した分散ネットワークによって「金融のインターネットの構築」を実現することを目的としたAva Labs によって、2020年9月21日にメインネットがリリースされました。
Ava Labs の創設者 Emin Gün Sirer氏は、米コーネル大学の計算機科学の教授です。アバランチの誕生秘話については、こちらの動画で詳しく紹介しています。
Avalancheチェーンで流通するネイティブトークンがAVAXです。
【時価総額】6,846億7,093万3,722円
【時価総額ランキング】第16位(2022年7月12日)
※CoinMarketCap参照
【発行上限】約7億2,000万AVAX
【循環供給量】約2億8,296万AVAX
【コンセンサスアルゴリズム】アバランチコンセンサス及びプルーフオブステーク(PoS)
アバランチコンセンサス
アバランチコンセンサスでは、統計的なアプローチが採用されています。
ビットコインの生みの親であるサトシ・ナカモトが提唱したナカモト・コンセンサスでは、全てのバリデータが全てのトランザクション情報を確認し合意することで、ファイナリティが実現されています。
アバランチコンセンサスでは、アプローチ手法として複数回のサンプリングプロセスが実行されます。
トランザクションに対して、統計的なアプローチによって決められた数のバリデータだけが承認を行うため、バリデータの増加による処理速度の低下を防ぐことができます。
アバランチの由来
2018年に公開されたホワイトペーパーのタイトルは、「Snowflake to Avalanche」(雪玉から雪崩へ)でした。
こちらの公式サイトでは、雪玉のように小さなサンプルが雪崩に変化する様子から、合意形成へ「雪崩れこむ」様子が可視化されています。これがアバランチの名前の由来です。
また、「Snow」繋がりで、スマートコントラクトに最適化されたコンセンサスプロトコルであるスノーマンコンセンサス(Snowman)という仕組みがあります。アバランチコンセンサスと合わせて動作することで、より多くのシーンに対応できるようになります。
『Avalanche』チェーン
Avalancheの公式ウォレットで使用できるチェーンは3種類あります。
C(Contract)Chain
スマートコントラクト向けに設計されており、トランザクション数はAvalancheチェーンの中では最多のチェーンです。
X(Exchange)Chain
暗号資産の送受向けに設計されていますが、Defiには対応していません。
P(Platform)Chain
プラットフォーム管理用に設計されており、アバランチに流通する情報を認証するバリデータの報酬が配布されます。
また、Avalanche上に作成されたブロックチェーンのうち、トランザクションの多いチェーンとしては、以下の2つが挙げられます。
DFK Chain
DeFi Kingdoms ブロックチェーンは、2022年3月16日に作成されました。
コミュニティメンバーやプロジェクトが、Play to Earn型のブロックチェーンゲーム『DeFi Kingdoms』のメインであるCrystalvaleと組み合わせて、GameFiや他のブロックチェーンゲームを体験するための場所になることがビジョンとして掲げられています。
DeFi KingdomsはRPG型のゲームで、ヒーローNFT を使用して、クエストを通じて獲得したアイテムをトークンに換金することができます。
Swimmer Network
スイマーネットワークは、既存のインフラとセキュリティを活用するゲームに特化したブロックチェーンで、2022年5月6日に作成されました。
既にPlay to Earn型のブロックチェーンゲーム『クラバダ(Crabada)』が、スイマーネットワークに移行しました。クラバダというカニのキャラクターNFTを使用したゲームで、Avalanche上のGame分野の中で特に注目されています。
アバランチの特徴
安価なネットワークフィーと高性能な処理能力(ファイナリティ)
アバランチは、トランザクションの検証時間、すなわちファイナリティまでの時間が速いことが特徴の1つとして挙げられます。
低コストかつ高速を実現できるのは、上述したアバランチコンセンサスという新しいアルゴリズムによるものです。
アバランチは、1秒間に6,500トランザクションを処理可能とされており、この処理速度は、VISAやマスターカードといったクレジットカードの速さに匹敵します。
環境への配慮
膨大な電力を消費するビットコインのマイニングでは、環境への負荷が大きいとされています。
アバランチのコンセンサスアルゴリズムには、アバランチコンセンサス及びプルーフオブステーク(PoS)が採用されているため、エコフレンドリーなパブリックブロックチェーンを実現しています。
EVMとの互換性
アバランチは、EVM(イーサリアム仮想マシン)と互換性があり、イーサリアムのブロックチェーン上で使用されるプログラミング言語Solidityに対応しています。
このため、開発者はイーサリアムネットワーク上で作成したdAppsをそのままアバランチチェーン上に移行することができます。
ガス代の高騰が話題となったイーサリアムから、アバランチのような安価で高速なチェーンに本格的に移行されていくのかが注目されています。
多様なエコシステム
2022年7月12日時点で、Avalancheと連携しているプロジェクトの数は203、サブネットの数は23となっています。サブネットは、複数のノードで構成されるアプリや法人専用のネットワークで、ブロックチェーンの状態に関するコンセンサスを得るために協働します。
Trader Joe
アバランチのdAppsで、分散型取引所(DEX)として機能しています。
DEXの預り資産を表すTotal Value Locked(TVL)は、$429.83Mと大きく、アバランチの中でも代表的なdAppsです。
Trader Joeでは、AMMと呼ばれる自動マーケットメーカーの仕組みにより、予め預けられた流動性プールを介して、暗号資産の交換、すなわちスワップ(Swap)を行うことができます。
他にもイールドファーミング(Yield Farming)、ステーキング、レンディングなどを行うことができ、ワンストップのDEXプラットフォームになっています。
Trader JoeのネイティブトークンはJOEトークンで、イールドファーミングの報酬として受け取ることができます。
Joepeg
Trader Joeにおいて利用できるアバランチチェーン上のNFTプラットフォームです。一般的な競り上げ式オークションに加え、最高価格から値を下げていくダッチオークションが採用されています。
Kalao
アバランチチェーン上のNFTプラットフォームです。Kalaoの特徴はKalao Visionを通じて、VRの世界を体感できる設計になっています。自身が保有しているNFT作品を美術館のように展示することができ、他人の作品を観て周ることができます。
主に取引されているNFT
・『Firat NFTs Collection』トルコの人気漫画のキャラクター
・『Love Is In The Air / The Flower Thrower』のフラクショナルNFT グラフィティアーティストのバンクシーの作品
フラクショナルNFTとは、1つのNFT作品を分割し、複数人で1つのNFTを保有できるようにしたものです。
Benqi
アバランチチェーン上のDefiプロトコルで、ステーキングやレンディングを行うことができます。
例えば、AVAXをステーキングすることで、BENQI Liquid Staked AVAX (sAVAX)を受け取ることができます。sAVAXは、最初にご紹介したTrader Joeで利用することができます。
Platypus
アバランチチェーン上のステーブルスワップ(Stable Swap)のプラットフォームです。
他のステーブルスワップに比べて、低スリッページ・高拡張性を特徴としています。また、複数のステーブルコインを流動性プールに提供する必要がなく、単一のステーブルコインのみで提供可能であることも特徴です。
ステーブルコインを預け入れることで、Platypus Finance(PTP)トークンを受け取ることができ、PTPを市場で売却したり、PTPをステーキングすることでvePTPを受け取ったりすることができます。
なお、Platypusはカモノハシを意味していて、プラットフォームのキャラクターがNFT化されています。NFTをGameFiのページに設置することができ、各NFTのスキルを組み合わせて、vePTPの生成速度を速めることができます。
OKCoinJapanでは、AVAXを開発するAva LabsでVP of Business Developmentを務めるJohn Nahas氏へのインタビュー動画を公開していますので、ぜひご覧ください。