4万ドル維持ならず
2021年6月のビットコインは、終値ベース(午前6時時点)での高値が15日の439万円、安値が25日の355万円となった。
対ドルでは、上値は40,000ドルを超えた付近で抑えられ、下値は30,000ドルのサポートが意識される展開となった。
※OKCOIN(BTC/USD 1D – Trading View)
主な出来事は?
①ビットコインが法定通貨に。
②一方で暗号資産規制強化も。マイニングエリアの移動。
➂米利上げ開始時期予想の前倒し。
1. ビットコインが法定通貨に。
6月9日、中米のエルサルバドルで、ビットコインを法定通貨とする法案が賛成多数で可決された。
ブケレ大統領が国会に法案を提出してから、僅か数日でのスピード承認となった。法律は9月7日に施行される。
企業間取引をはじめ、決済面での課題も懸念され、同法律が憲法違反だとする反対運動も起きているが、承認の背景には、同国の経済事情が関わっているとされている。
世界銀行のデータによると、エルサルバドルの人口は2020年時点で約648万人。そのうち約7割は銀行口座を保有しておらず、誰もが金融サービスに容易にアクセスできるわけではない。
また、国内総生産(GDP)の約2割は、国外で就労しているエルサルバドル人からの送金が占めており、同国の経済は国外送金の依存度が大きい格好だ。
銀行口座を持たなくても利用することができ、銀行などの仲介手数料がないビットコイン。エルサルバドル経済に変革をもたらすことが期待されている。
2. 一方で暗号資産規制強化も。マイニングエリアの移動。
5月に、中国国務院金融安定化委員会が、ビットコインのマイニングと取引を取り締まる方針を明らかにしたが、6月に入りマイニング規制が強まっている。
中国青海省による全ての暗号資産マイニングの閉鎖命令に続いて、マイニングが盛んな西南部の四川省でも同様の動きが見られた。
米メディアCNBCによると、中国マイニング業者は隣国のカザフスタンや米国テキサス州、メリーランド州などに移動しているとのこと。
北米では、5月後半に米テスラ社イーロン・マスクCEOが提案していたビットコインマイニング協議会(Bitcoin Mining Council)が6月10日に発足しており、今後エネルギー使用量に関する透明性の促進や知見を広げる活動が活発化しそうだ。
6月13日には、イーロン・マスクCEOが、マイナーにより再生可能エネルギーの利用が確認できれば、米テスラ車のビットコイン決済を再開する可能性に言及し、再びビットコイン相場を押し上げた。
3. 米利上げ開始時期予想の前倒し。
6月の米国連邦公開市場委員会(FOMC)にて、2023年末までに2回の利上げが行われることが示唆された。
これを受け、米長期金利が前日の1.49%から1.58%へと急上昇。今後テーパリングの議論が進んでいくとの見方から、これまで資金が流入していた株式市場は下落、暗号資産も同様に下落した。
※テーパリングについてはこちら
6月2日に実施した当社のTwitter投票時点では、ビットコイン価格が401万円だったが、6月の終値ベース(午前6時時点)では385万円とやや下落という結果となった。
強気の見方が多かったものの、16日に心理的節目とされる40,000ドルを維持できなかったことで、以降は下値を模索する流れに。
7月以降、中国による規制、マイナーの移動が一段落すれば再び上昇に転じるとの見方も。さらに、中長期的には米国証券取引委員会(SEC)によるビットコインETF初承認の可能性、ビットコインの法定通貨化が他国へ派生する可能性など、いくつかの材料も。
一方、短期的にはレンジとなっている下値30,000ドル付近を再びうかがう可能性も考えられるため、ポジション管理には十分な注意を。